IT産業は先進国の中でも日本は後退しています。世界を代表するIT企業は日本からはなかなか出てきていません。

ではどうやったらアメリカのように世界的企業が日本から生まれてくるのでしょうか?

今からしっかりと対策とベンチャーが立ち上がる土壌を作ることができなければ、間違いなく将来日本は本当に貧乏になります。

Apple、アマゾン、Twitter、Facebook、Googleなどのプラットホーム上でビジネスをやっても結局は仲介手数料を支払わなくてはなりません。

だから国産のIT企業が今まさに必要なんです。

総務省が平成28年に公開した「情報通信白書」はIoT、AIの進展状況と社会経済にもたらす変化や影響についてまとめています。

2020年は実質DGP押し上げ効果として33兆円の上乗せが期待されており、IoT,ビックデータ,AIなどの次世代産業への期待は非常に大きいです。

しかしながら、我が国日本のAIへの理解と認識が非常に低いことが「情報通信白書」を通してわかりました。

AI市場の課題は”理解”

今後、IoTやAI、ビッグデータにより産業は一変していきます。

作業的な仕事は全てコンピュータがやって行く流れになり、人間が就く職業はかなり変わって行くでしょう。

「情報通信白書」では

AIの業務効率・生産性の向上効果により、機械化可能性が高い職業のタスク量が減少
AIの新規事業創出により、新しく創出される職種のタスク量が増加

と表現されています。

新しい働き方、新しい仕事形態が出て来るわけです。

AIが普及することは間違いないため、それに備えて行かなければならないのですが、現状として米国に比べて、日本人就労者の対応・準備は遅れ、スキル習得意欲も低いことがわかりました。


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政府、メディアはもっと次世代産業を取りあげるべき

政府、メディアはもっとこれらのテーマを取り上げて国民の理解を深めるべきです。

HPE Aruba社が行った企業における「IoTの理解」調査では調査対象国20カ国中、日本は最下位でした。

経済産業省・総務省・関係省庁は連携し、「IoT推進コンソーシアム」を設立したのですが、

  • 人工知能がどれくらい発達しているのか
  • 普及したら生活はどのようになるのか
  • 産業やビジネススタイルはどのように変化するのか

ほとんどの人が知りません。

IoTという言葉すらほとんどの人は知らないでしょう。

もっと知ってもらう努力をしていかないとますます世界から取り残されていきます。

グローバル企業の躍進と日本の遅れ

日本の人工知能における世界との差を理解するために以下の文は非常に鋭い示唆をしています。

IT分野で勝負する起業家や投資家はインターネットについて最も詳しい人たちのはずですが、彼らですら、技術の進歩の速さについていけなくなってきています。

〜中略〜

グーグルは他の起業家や投資家が手がけるよりかなり早い段階でロボットや人工知能への投資を積極的に行ってきましたし、Facebookも同様にかなり早期に仮想現実のOCULUSを2000億円で買収しています。

Googleなどの動きを見るに、話題になる2〜3年以上前からこういった領域への投資を準備していたであろうことは明らかです。

最近では他の企業がその流れに追うつくのに年単位のタイムラグが発生しています。

そしてこの感覚はどんどん広がっているように感じます。

なぜIT業界の巨人だけが未来を見通し、その他の企業、そして投資家までもが遅れてしまっているのか。

その理由は巨人達が最先端の研究者を自社内に囲い込み、クローズドな状況で開発を行っている点にあります。

すでに学術的に最先端の研究とビジネスは切っても切り離せないほど密接に結びついており、企業は研究段階から新しいテクノロジーに関わっていないと競争に勝てなくなっています。

最先端を走る企業は大学の教授や研究者をスカウトし、企業内のラボで好きな研究をさせています。

研究者としても大学内で限られた予算を使い実験するよりも莫大な資金力と大学の何倍ものサンプルデータをもつ民間企業の方がより良い結果を残せると考えるのは当然でしょう。

世界で活躍するGoogle、アマゾン、Facebook、アップル、マイクロソフトは膨大な投資をしています。

人工知能に限らずIT業界全体に対して、製品やサービスが「発芽する」前から準備をしているのです。

絶えず最先端の知識がグローバル企業には集まってきますが、これに日本が対応するのはかなり難しいと言わざるを得ません。

全体的に日本と世界ではすでに人工知能に対しての理解は多く差が開いていますが、日本の知識人トップ5%と海外の知識人トップ5%の知識もかなり差が開いていることでしょう。

グローバル企業が発表するデータは最先端のものではなく、「少し古い情報」になります。

最先端すぎるものを公表したとしてもメリットは薄いですし真似されてしまうだけなので、「少しばかり古く真似されたとしても大丈夫」なデータしか公開しません。

このように思うと世界と日本の差はますます開いていくことが簡単に予想できますね。

時価総額ランキングでの世界との「差」

平成元年の時価総額ランキングでは圧倒的に日本が世界を席巻していましたね。

しかし平成30年のランキングでは見事にひっくり返されています。日本企業の名前を見るためには22位まで確認しないといけません。

30年で制圧されてしまったわけです。

もちろん、中には「今後の30年間で日本はまた世界の覇権を取れるのではないか?」という意見もあるかもしれませんが、僕はそうは思いません。

先ほど伝えた通り、世界規模で活躍する企業たちは、今後のテクノロジーに対して莫大な投資をしています。

経団連のAI活用戦略は期待できるか?

2019年2月19日に一般社団法人日本経済団体連合体が「AI活用戦略~AI-Readyな社会の実現に向けて~」を発表しました。

AIが普及していくにあたり、どのような人材が必要なのかがまとまっています。

日本のAIへの理解度は低いですが、それ以上に深刻なのが、「データサイエンティストが圧倒的に足りない」問題です。

日々、AIは進化しているのにも関わらず適切に活用できなければ、まさに「ぶたに真珠」状態。

海外は人材育成に力を入れていますが、日本はそこまで入れておらず。

AIへの理解度を高めるとともに、IT産業への従事者を増やさないと、もっと世界と差が開いてしまうのではないか?と僕は危惧しております。。

株主還元主義をやめて、人材&設備投資!が経営者に求められる

日本が国として圧倒的に経済成長できていたのは、「利益を人材育成と設備投資に充てていた」と僕は考えています。

バブル期で若手サラリーマンとして活躍し、その後独立した経営者の方々の話を聞くと、みんな口を揃えて、「バブル期はめちゃめちゃ研修が多かった。」と言います。

人と設備にお金を投資すれば儲かる!とバブル期の経営者の方々は思っていたのでしょうね。しかし、悲しいことに現在は、会社の利益は株主に還元されてしまい、次世代テクノロジー技術や人材に投資しにくくなりました。

日本人の正社員のお給料は、この25年で微減少していますが、株主への還元は4倍に膨れ上がっています。

日本の大手企業の株主に、外国企業が名を連ねることが多くなり、コロナの影響でますます外国人株主は増えています。外国人株主が、日本国の人材育成や設備投資に興味があるわけなく、今後も厳しい状況が続くと僕は予測しています。

社会的使命を担ったメディアにしていくという決意

ではこのまま日本は世界から取り残されて、IT領域で植民地化されている現状をただ嘆いていればいいのか?と言われるとそうではないと思っています。

戦後復興してきた日本はアジアから「太陽」と称され、世界的に見ても日本より精神的なゆとりと誇りを持った民族は他にいないと確信しています。

なのでこれからの日本のIT領域における知見を高め、そして経済的な発展をし、国民一人一人が少しでもITに興味を持ってもらえればと思い、これからも情報発信を続けて行きます。